ギドン・クレーメルギドン・クレーメル(ヴァイオリン) Gidon Kremer

 ラトビアのリガで生まれ、4歳の頃から父と祖父 (ともに優秀なヴァイオリニスト)よりヴァイオリンの手ほどきを受ける。7才でリガの音楽学校に入学。16才でラトビア国内の音楽コンクールにおいて優勝を果たし、その2年後にはモスクワ音楽院でダヴィド・オイストラフに師事する。1967年にエリザーベト王妃国際コンクールに入賞すると、1969年にはパガニーニ国際コンクール、1970年にはチャイコフスキー国際コンクールにて相次いで第1位の栄光を獲得した。
 ここからクレーメルの輝かしいキャリアが始まる。演奏会の回を重ねるにつれ、同世代の演奏家のなかでもきわめて独創性に富み、素晴らしい演奏家である、との彼への評判は世界でも知られるようになり、次第にトップ・ヴァイオリニストとしての地位を不動のものにしていった。
 これまでに多くの世界のメジャー・オーケストラと共演。また、レナード・バーンスタイン、ヘルベルト・フォン・カラヤン、クリストフ・エッシェンバッハ、ニコラウス・アーノンクール、ロリン・マゼール、リッカルド・ムーティ、ズービン・メータ、ジェームズ・レバイン、ヴァレリー・ゲルギエフ、クラウディオ・アバドとサー・ネヴィル・マリナーなどの近年の屈指の指揮者との共演も多数。
 演奏のレパートリーは大変多様であり、古典派、ロマン派などのクラシック・スタンダードはもとより、ヘンツェ、ベルクやシュトックハウゼンといった20世紀の大作曲家の作品にも取り組んでいる。なかでも自身の出身地であるロシアや東欧の作曲家による作品の発掘や演奏に熱意を傾け、それらの作曲家からも新曲を献呈されている。
 またシュニトケ、ペルト、カンチェリ、グヴァイドリーナ、バレンティン、ジョン・アダムズ、アストル・ピアソラなど、まだ世間にはあまり注目されていなかった作曲家も含め、伝統を重んじながらも現代的な解釈も取り入れた演奏スタイルで、多くの聴衆に数々の知られざる名曲を紹介してきた。クレーメルが音楽家として歩んできた過去30年を振り返っても、現代の作曲家と音楽ファンとを結びつけてきた彼のソリストとしての功績は特筆すべきものである。
 レコーディングの数でもクレーメルは突出している。彼はこれまでに100枚を超えるアルバム収録に参加してきた。その際立った音楽性と楽曲の解釈は録音においても讃えられており、フランス・ディスク大賞、ドイツ・レコード大賞、エルンスト・フォン・シーメンス音楽賞などの国際的な音楽賞を多く授与されている。
 1981年にロッケンハウス(オーストリア)にて親交のある演奏家とともに「ロッケンハウス室内音楽祭」を創設し、その後も毎年夏にはこの音楽祭が継続して開催されている。
 1997年バルト三国から有能な若い音楽家の育成を目的とし、クレメラータ・バルティカ室内楽団を設立した。以来楽団とともに世界のあらゆる地域でツアーを行っている。
 2002-2006年にはスイスのバーゼルで開催される新しい音楽祭の芸術監督を務めた。
 ヴァイオリンは1641年製の「ニコラ・アマティ」を愛用。
 執筆活動もしており、彼自身の芸術哲学などをテーマにした4冊のドイツ語の著作がある。

ギドン・クレーメル 【英文プロフィール】