2004年にボストン音楽院へ留学、同院より音楽修士号を取得、さらに全額奨学生としてディプロマを取得した。在学中は、特に室内楽を中心とした活動を活発に行い、2005年には、「Three Colors Trio」にてCMFoNE第1回国際室内楽コンクールで第1位に入賞、カーネギーホールにて受賞者演奏を行うなど、受賞歴多数。一方、2004年には「Boston String Quartet」を始動。クラシック音楽に限らず幅広いジャンルの演奏に取り組み、4枚のアルバムをリリース、ロサンゼルスミュージックアワードやカーネギーホールにも出演し、2008年には若手育成プログラムとコンサートを融合させた「Xibus」全米ツアーを行った。また、「Vuk School of Groove」にてチェロ講師を務め、2007年から2009年にかけてはボストン・フィルハーモニー管弦楽団およびアトランティック交響楽団の団員としても活躍した。
2009年より拠点を東京に移し、現在では室内楽を中心とした多彩な演奏活動を行っている。2013年には「スタイナート・トリオ」の日本デビューツアーにて各地で好評を博し、これまで同グループ(現在、「スタイナート」として活動)にて計6回のジャパン・ツアーを行っている。また、2009年にはアメリカのバッファロー市において、マルセル・ティバーグ(1893-1944)の弦楽六重奏(1932)を世界初演、録音するなど、作品の発掘や新作の紹介にも意欲的に取り組んでいる。
一方、2008年にボストンにて青少年育成のための国際音楽祭「Youth & Muse」を始動し、2012年からは毎夏、ボストンと埼玉県秩父市にて並行開催。2015年まで『ちちぶ国際音楽祭』における音楽監督として、「Youth & Muse Japan」のプロデュースを行った。また、2013年より「Korea Philharmonic Research Institute」にチェロ科教授として招聘されるなど、指導者として国内外で後進の指導、室内楽の普及活動に力を入れている。
JT生命誌研究館の20周年記念イベントのために制作された「生命誌版 セロ弾きのゴーシュ」では、宮沢賢治の名作を舞台化し、人形、語り、演奏、映像のコラボレーションを披露。皇后さまもご臨席された2014年の東京初演を皮切りに、長野県飯田市における「いいだ人形劇フェスタ2014」、大阪府高槻市、北海道札幌市と公演を続け、2015年には人形劇の本場チェコ・ピルゼン市の人形フェスティバル「スクポヴァ・プルゼニュ2015」に招聘され、伝統ある劇場「Divaldo Alfa」にて上演。好評を博し、「舞台演技のできるチェリスト」として、その演技力にも注目が集まった。現在は、フィギュア・アート、ダンス、生け花、能、邦楽など様々な分野の芸術とのコラボレーションにも力を入れている。
また、2016年には、東京藝術大学奏楽堂にてヨーヨー・マ氏等と共に自身のバックグラウンドである芸術と科学の接点を探る公開討論会及び演奏を行い、現在、同学においてコーディネーターとしてさらなる深化のための活動を行っている。一方、福島青年管弦楽団のロンドン公演2019に指揮者として登壇するなど、指揮活動も展開している。
平成29年度和歌山県文化奨励賞受賞。東京藝術大学「Arts Meet Science」プロジェクトコーディネーター。スタイナート主宰。ラインハイト室内楽アカデミー講師。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会正会員。かまくらシンフォニエッタ、福島青年管弦楽団トレーナー。これまでチェロを近藤浩志、菊地知也、Andrew Mark、Timothy Eddy、Natasha Brofskyの各氏に師事。室内楽をRoger Tapping、Bruce Hangen、Rhonda Rider、Patricia McCarty、Rictor Noren、Jonathan Cohler、Max Levinson、Jonathan Bass等に師事。使用楽器は、N. Gagliano 1753 および C.A. Miremont 1884。
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